
陸軍船舶暁部隊 秘匿名称「マルレ」。
愛知県鳳来寺村(現:新城市)から広島県宇品に召集された夫の任務は、ベニヤ製のボートに250キロ爆弾を積み、体当たり攻撃をする海の特攻隊であった。
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「海の特攻隊」について
暁部隊に所属していた小笠原久雄が、妻に宛てた手紙には何度も大きく太い字で「レ」という暗号が書かれています。
それは極秘の特訓、マルレの事を指していました。
(※水上特攻は軍の中でも極秘扱いとされ、資料は現在もほとんど残されていません。「連絡艇」が公式名で、連絡の「レ」を○でかこんで、ふだんはマルレと呼ばれていたようです。)
愛しい妻にも「レ」が特攻の特訓だということは伝えていなかったようです。
当時手紙を書いている時は本当につらい心持ちだったのだろうと思います。
表紙の絵は当時実際に送られてきた絵葉書から。(画:朝倉摂)
タイトルは「帰宅した明日から、鍬を手にお百署になる心算でおります。もう二週間で帰宅できるなど夢のようです。」という、元の生活に戻れる喜びが書かれている最後の手紙から採りました。